2015-07-26ドイツ民謡5-歴史概観2

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　数少ないドイツにおける民謡への記述、また民間（世俗）音楽の変化について、また、やはり「宗教改革」と呼ばれるものは大きな変化であり、また画期でもあるのでクロード・ロスタンのものより引用して再構成して記しておきたいと思います。

宗教改革以前（16世紀まで）

「自然の要素、つまり民謡の方は、多かれ少なかれ、不完全で間接的にしか立証されないが、後年ヘルダーとゲーテの暗示に従ってもういちどとりあげられて十九世紀ドイツの抒情的歌謡の一方の大きな源泉となった、アウグスブルグ及びハイデルベルクの歌の書によって判断すれば、はるかに巨大な生気にみちている。これらの歌*は、当時の社会に、非常にひろく行なわれていたらしいし、ルター以前のほかのどんな音楽的要素よりも、ドイツ人の音楽的感性を形成する上に貢献した。音楽が、この人々の日常生活の必需品になりはじめたのも、もっぱら、これらの歌のおかげであるし、ルターの宗教改革の一半は、これに支えられていた。その影響は実に大きかったので、コントラファクトゥールという手法によって宗教音楽の領域にまで侵入している。この手法は、これら世俗音楽的な歌から借用した旋律にのせて、雅歌の歌詞を唱う作法で、すでに十五世紀の中頃にハインリッヒ・フォン・ラウフェンベルクが用いたものである。しかし、この頃最も興味のある人物のひとりは、ルターと同時代のルードヴィヒ・ゼンフル（1488-1543）である。彼はスイスに生まれたが、一生にわたりドイツで活躍した人である。サン・ガルに保存されている彼の手稿をみれば、いかに彼が表現的な美しさをもったポリフォニック歌曲、モテト、ミサのすばらしい作曲家であるかが想像される。しきりと庶民的な霊感に仰いでいる彼の芸術は、後に、ルターの思想に相当な影響を与えることになる。」（「ドイツ音楽」クロード・ロスタン　吉田秀和訳、白水社1980、p.18-19）

*前回、歴史概観1の15世紀の項の手書きの歌謡集辺りを指すと思われる。時代としてはミンネゼンガー、マイスタージンガーの伝統を経て、15世紀、パウル・ホフハイマー（1459-1537）という作曲家らがいた時代、技法的にはフランス=ネーデルランド楽派の摸倣であって「14、15世紀には、二つの要素が（略）発達していた。そのひとつは、庶民の生得の歌謡、つまり民謡であり、もうひとつは、ポリフォニーの技法の初歩」（同書）が行なわれていた時代。

宗教改革とドイツ音楽（16世紀以降）

「ルターは音楽にはひどく肯定的であった。『音楽は、どんな時も私の心にはなつかしいものだった。彼女は、神々しい優雅さを具え、神学の近親に当たる』とか『歌うことを知らない教師の話など、私はききたくもない』とか。こんな音楽観が行なわれた（略）ルターのいろいろな示唆は、ドイツの人々の深い音楽的本能を解放し、力づけ、それに方向と勢いを与えるばかりだった。（略）教会でもドイツ語によるコラールのやさしい旋律が、ラテン語によるむずかしいグレゴリオ聖歌にとってかわる。（略）音楽、この『ルターの精神の鳴りひびく言葉』であり、宗教的課業として与えられたこの音楽が、このころ、極度に堅固な土台を作り出したことは、まちがいない事実である。」 （同書）

やはりルター派は教会や社会だけではなく音楽においても大きな変化をもたらしました。コラールがその後ドイツ音楽の大黒柱になった、というよりも、音楽を重視した教派であり、さらに根本的な変化、教会の日課や教育において歌詞がラテン語からドイツ語へとシフトしたことは文化のアイデンティティの問題として根本的な変化でした。

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平野達也作品の試聴はこちら↓

平野達也：作曲 III.「フィナーレ・クビカ」　〜 『シンフォニエッタ・クビカ』吹奏楽のための三章より　https://www.youtube.com/watch?v=VqbgTeCc15Q  

平野達也：作曲 II.「ロマンツァ・メリカ」　〜『シンフォニエッタ・クビカ』吹奏楽のための三章よりhttps://www.youtube.com/watch?v=DohLVx7LBq4

平野達也：作曲I.「シンフォニア・クビカ」　〜 『シンフォニエッタ・クビカ』吹奏楽のための三章より　https://www.youtube.com/watch?v=deEr78JVUDw        

 

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by Janalozy (2020-03-22 08:37)