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2016-08-15右から二番目の星〜「ピーター・パン」より [自作品]




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某団体から編曲の依頼を受けたのが「右から二番目の星」(The Second Star to the Right)という曲。

送付資料楽譜(ピアノ譜)に映画「ピーター・パン」より、とあるので、まずは映画を観てみることに。この曲はオープニングテーマでした。 手元のピアノ譜には作曲者はサミー・フェインと書かれていますが、映画本編には、これは少し驚きを得ましたが、複数の作曲家の名前がクレジットされています。R.ロジャース等のように、この映画の音楽担当はひとりではありませんでした。

ミュージカルスコア(?)というクレジットや、オーケストレーションの専門の役割もあるようです。その中に歌を書いたという意味でしょうsong byと書かれている一群の作曲家名の中にサミー・フェイン(Sammy Fain)の名があります。 
ディズニーの曲は、オーケストレーションも含め、いつも良くできていると感心します。 

この曲の冒頭の音形(CCBbA)を聴いて、即「星に願いを」When You Wish Upon A Starsと全編を統一する循環形式があるのたど直感しました。しかし「星に願いを」は映画「ピノキオ」の挿入歌なのですね。単なる思い過ごしに終わりました。
しかしこの「右から二番目の星」も「星に願いを」も、更に「白雪姫」中の「いつか王子様が」Someday My Prince will Comeも共通の動機からできているように思えて仕方ありません。旋律の抑揚として効果的と考えられた、商業的にヒットし易い歌い出し、というよりも、希望や夢を抱く登場人物の心象を表現する動機と考えた方が、随分夢のある話しのようにも思えます。

編曲作品はその後無事に完成をみ、これでカラーガードというパフォーマンスを披露するとお聞きしました。どこかでみなさんもご覧になるかもしれません。

右から二番目の星、とはネバーランドのあるところそ指します。ティンカーベルの妖精の粉をまとったウェンディたちは、ピターパンとともにロンドンの空を飛んで行きます。
ビッグベンの針の上で、ピーターパンは改めて「右から二番目の星」を指差します。 夢のある話しです。

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平野達也、平野達也トリオ今後の予定
2016年8月19日(金)なんば、B-Roxy、20:00〜,21:30〜 平野達也トリオ、P.平野達也、B.岸政彦、D.藤木亨(初顔合わせ)、mc:¥2.500- http://www.b-roxy.com/
2016年8月26日(金)京都、祇園、KeyStone 「平野達也ソロジャズピアノの夜、Vol.6」21:30〜、22:30〜 テーブルチャージ¥1.000-mc:チップ制
(8/18木、8/27土は非公開演奏)
9月18日(日)、京都ボックスホール、14:00〜 P.平野達也、B.未定、D.未定
9月30日(金)、八戸ノ里、蓄音機、19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
10月2日(日) 神戸Always、Tp.横尾昌二郎+平野達也トリオP.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔 http://always-kobe.net/ mc:¥2.300-
2016年10月15日(土) なんば、B-Roxy、20:00〜,21:30〜 P.平野達也+Vo.ki-ku、mc:未定 http://www.b-roxy.com/
2016年12月23日祝 京都・四条、シルバーウィングス、クリスマスライブ(仮)15:00〜
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平野達也作品新規出版「ペンテコステ」〜吹奏楽のための祝典序曲〜
発売元ディスクリエイトミュージックの「ペンテコステ」のページは、こちら↓ 
http://discreatemusic.hatenablog.com/entry/2016/05/16/113049 

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2016-06-04 平野達也作曲「ペンテコステ」〜吹奏楽のための祝典序曲〜出版のお知らせ [自作品]




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この度、拙作「ペンテコステ」〜吹奏楽のための祝典序曲〜が、ディスクリエイトミュージック社から、出版(平成28年5月16日付)される運びとなりました。関係各位に感謝申し上げるとともに、謹んでお知らせをさせて頂きます。
こういう出版を契機に、より多くの方々に作品を知って頂ければと期待しております。 

発売元ディスクリエイトミュージックの「ペンテコステ」のページは、こちら↓ 
http://discreatemusic.hatenablog.com/entry/2016/05/16/113049

 

出版譜、表紙デザインと内ページ(作曲者解説) 
ペンテコステ出版表紙.jpg 

当ブログでの作曲者自身による解説は、以下のものをご参照下さい。
作曲家、ピアニスト 平野達也の部屋 /2014-10-01<自作紹介:祝典序曲「ペンテコステ」吹奏楽のための> http://t-hirano.blog.so-net.ne.jp/2014-10-01

試聴はこちら↓
 
https://www.youtube.com/watch?v=U9rPifu0OOg 

ディスクリエイトミュージックの試聴フォームより 
url.jpg

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平野達也編曲作品初演
ラフマニノフ作曲、平野達也編曲「交響曲第2番、3&4楽章」 
宝塚市吹奏楽団、第37回定期演奏会 平成28年6月19日(日) 三田総合文化センター・郷の音ホールにて
宝塚市吹奏楽団公式HP http://www.zukasui.com/
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平野達也、平野トリオの予定   
・2016年6月11日(土) Keystone 京都祇園四条 平野達也ジャズピアノの夜 、1st.20:00,2nd.21:00 ¥1.000-初登場!https://www.facebook.com/Acoustic-Bar-Keystone-295723287122521/
・2016年7月1日(金) 八戸ノ里、蓄音機、19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔 
・2016年7月16日(土) 神戸Always、20:00〜 横尾昌二郎(Tp.)+平野達也トリオP.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔、Tp.横尾昌二郎との初コラボ、初登場! 078-8050899 http://always-kobe.net/
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新設HP,ブログのプロフィールからも飛べます

http://tatsuya-hirano.jimdo.com    


2016-03-21ラフマニノフ交響曲第2番、第3楽章、その4(最終回)〜主題が重なる時 [自作品]




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Tp.Tb.が奏する楽句(譜例中◯印)、これは前回ふれたA管クラリネットによる副次主題であり、以下の譜例は、主要主題と副次主題の二つが同時に鳴り響く楽章終盤の箇所です。
恥ずかしながら編曲をして今回初めてこのことに気付きました。 気付いたことが理由ではなく、この部分が第3楽章で私が最も心を揺さぶられる箇所であって、そのことの論理的説明が為された思いがし、それは充足感でもあり、いわば安堵感でもありました。つまり感動の諸要素の理由の一端が技術的なものに見い出せたということですが、これは彫琢された音楽構造が伝達可能という、その図式が保証される特別な例なのかもしれません。

「主要主題と副次主題が同時に鳴り響く」とは他愛もないことなのかもしれませんが、私にとってはこの瞬間が至福の時のように思えます。
技術的内訳、対位(音の組合せ)の妙や、IV9の和音の使用についての細部は割愛しますが、これは偶然ではなく、主題の可能性を様々に追求することからしか生まれ得ない音楽現象だと思います。それへの伏線も数知れず、例えばその直前、2ndVn.が高らかに歌う1stVn.の下でさりげなく主要主題を聴かせているのは本当に心憎い限りです。
確定した音楽の背後にある作曲家の技術と費やされた時間が具体的な音楽の衝撃力を生み出すという、幸せな瞬間をこの部分に感じます。その瞬間は一瞬に過ぎ去ってしまいます。儚いことです。

こうして私の集中的に短いラフマニノフとの付き合いも終わりとなりました。またいつかきっと向き合う機会がある予感がします。
この編曲作品については事が順調に運べば、今年の夏くらいに皆様にも聴いていただけるかもしれません。(おわり) 

 

Rachmaninov Symphony No.2-3-3.jpg

交響曲第2番第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=QNRxHyZDU-Q

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平野達也、平野トリオ今後の予定 

◯十三、トミーズ、2016年3月30日(水)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月15日(金)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月17日(日)20:00〜  P.平野達也+高木ちさと(Vo.)
◯十三、トミーズ、2016年4月30日(土) P.平野達也、B.波戸就明(なりあき)、D.弦牧潔 
△八戸ノ里、蓄音機、2016年7月1日(金) 19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
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平野達也作品の試聴はこちら↓
吹奏楽のための「ノットゥルノ」

https://www.youtube.com/watch?v=rlQ1gZ-XCYg         


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2016-03-20ラフマニノフ交響曲第2番、第3楽章、その3〜A管クラリネットのメロディー [自作品]




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 楽章冒頭、弦による主題のあと、静かに立ち現れてくるのがA管クラリネットのメロディーです。
 未だ見たことのない世界が一音一音と切り開かれて行く、そんな心持ちで私はいつもこの部分を聴いています(譜例)。

Rachmaninov Symphony No.2 mov.3-2.jpg

 B管よりも少し管長が長いだけでかなりニュアンスの違う音色になるこの楽器にいつも驚かされます。少し「こもった」といいましょうか、クスミのような、それでいて実に甘美に私には感じられます。楽器設計の完成度は管長や管体の多少の変化でも、その音色に大きく影響を与えずにはおきません。これこそ楽器技術者の成果です。

 音域に限っていうと、ここはオーボエでもフルートでも、またヴァイオリンソロでも可能なわけですが、どうしてという理由より、全てはラフマニノフがA管のクラリネットを選んだところから話しを始めなくてはならないのでしょう。仮に’どうして’の理由を追及しても、その果ての推論は大いに納得のいくものであるとは考えにくい。そうである以上、この手の問題は常に現前の音楽現象から始めるしかありません(もちろん自伝等から個人的趣向などは出てくることはあります)。彼はA管のクラリネットを選んだ、全てはここから始まります。

 A管クラリネットの名曲といえば、これもまたご多分に漏れずモーツァルトの最晩年の作K.622のクラリネットコンチェルトを思い出します。また同クインテットではブラームスのものも続けて思い起こされます。
 モーツァルトのK622のコンチェルトはE音(E5,2点ホ音)、即ちA-durの第5音からの開始、K581のクインテットもVn.ではありますが同じくA-durの第5音(E5)からで、続くA管クラリネットの上行アルペジオの開始音もE音(C3,ホ音)から始まります(3楽章メヌエットも、4楽章の開始音もE音、第5音から)。
 このクインテットのVn.の第5音、クラリネットの低い第5音からの上行アルペジオという関係は、ブラームスのクインテットにそっくりそのままあてはまります。ブラームスでは調性こそ違えh-mollですが、Vn.がF#5、クラリネットはF#3からの開始になります。これらは他人のそら似とはいえない類似であって、このブラームスの例に限ってはモーツァルトと深い関係があるといわねばならないでしょう。 

 ラフマニノフにかえって、開始音2点ホ音、このモーツァルトのコンチェルトの開始音でもあり、またクインテットにおいても、それがVn.の場合ではあっても第2楽章以外に例外なく使われたA-durの第5音という音、この音がラフマニノフの旋律の開始音でもあります。しかしモーツァルトの音をラフマニノフが念頭においてA管クラリネットを選択したかどうかはやはりどこまでも謎のままです。しかし彼の書いた旋律の開始音は紛れもなくモーツァルトが書いた音、2点ホ音であることは動かし難い事実であります。
 A管クラリネットにとって2点ホ音は、A-durという調性にあって、私には特別な音のように思えます。低くなく高くなく、歴史の深さを内に秘め、この楽器のとある横顔を一音で知らしめるような音。それを私によく思い出させるのがこの2楽章の開始音です。

モーツァルト,クラリネット五重奏K581 https://www.youtube.com/watch?v=_mKUYMQsFwM 

ラフマニノフ,交響曲第2番第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=QNRxHyZDU-Q 

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平野達也トリオライブ終了御礼
十三、トミーズ、2016年3月19日(土)P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔 
Vo.の林トモコさんが遊びにきてくれて歌ってくれました。ギター、ピアノの飛び入りもありました。ご来場のみなさまありがとうございました。

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平野達也、平野トリオ今後の予定 

◯十三、トミーズ、2016年3月30日(水)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月15日(金)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月17日(日)20:00〜  P.平野達也+高木ちさと(Vo.)
◯十三、トミーズ、2016年4月30日(土) P.平野達也、B.波戸就明(なりあき)、D.弦牧潔 
△八戸ノ里、蓄音機、2016年7月1日(金) 19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
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平野達也作品の試聴はこちら↓
吹奏楽のための「ノットゥルノ」
https://www.youtube.com/watch?v=rlQ1gZ-XCYg        


2016-03-19ラフマニノフ交響曲第2番、第3楽章、その2〜松葉と文字強弱記号 [自作品]




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 譜例は前回と同じもので、楽章冒頭のVn. パートの歌い出しの部分、文字強弱記号と松葉によるクレッシェンド、ディミュニエンドが併記されています。今回はこの文字強弱記号と松葉について考えます。
 まず松葉の記号、クレッシェンド、ディミュニエンドは毎小節記されています。ここでの松葉の付け方は、音が上行すればクレッシェンド、音が下降すればディミュニエンドという規則性があります。しかしこの規則性は当然といえば当然のことであって、例えば我々が何か歌を口ずさむ時、高い音には多くの息が要り、それに連れて音量も増すということを考えれば、至極当たり前の指示といえます。この当たり前の指示は穿った見方をすれば、当然のことを当然のように恣意的な解釈で演奏して欲しくないという意思表示なのかもしれません。

 

Rachmaninov Symphony No.2mov.3-1.jpg

 さてこの当然の毎回の松葉のクレッシェンドとディミュニエンドは冒頭から3回旋律の相似形(モデルと2回のシークエンス<摸続進行>)が繰返されるという意味も、加えて明らかにするために付けられていると考えられます。等しく付けられた松葉が旋律の同形を表すという意味です。

 それとは別に文字での強弱記号が併記されます。それが問題になるのは3小節目の文字によるdim.と松葉によるクレッシェンドの同時指示でしょう。結論としては、相似形のまま全体の音量が減少していくという意味です。それがdim.の上に松葉のクレッシェンドが併記されていていることが矛盾しない理由ともいえます。
 今矛盾しないと書きましたが、このことは一般的には不可解な指示に映るものです。なぜなら文字強弱記号と松葉は連動することが多いからです。例えばpから松葉のクレッシェンドを経て文字強弱のfに至るというような場合、またその逆の場合。このように一般的には連動して記されることの方が多いのは、松葉が視覚的に効果のある記号であり、文字による強弱の合間にあることで一層分かり易いものとなるからです。

 ところがラフマニノフのこの場合、文字強弱のdim.と松葉のクレッシェンドが同時に記されています。理由は相似形の単位で音量の増減が行なわれるということは既に記しましたが、このセオリーから外れたことをもって、ここでのラフマニノフの指示は、文字強弱記号と松葉は連動せずに、別個のものとして読譜しなければならないということになります。

 唯一文字強弱記号と松葉が一般的な用法の通り連動するのが冒頭と最後です。明らかに冒頭はmfから松葉のクレッシェンドしてfへという意味、最後は松葉のディミュニエンドをしてppへ至るという意味(5小節目、譜例なし)です。
 ラフマニノフのこのケース、文字強弱記号と松葉は連動しないことは先にも書きましたが、そのことにより注意が必要であると思われることを続けて記すと、冒頭mfから松葉のクレッシェンドがありfへ到達した音量に直ぐに松葉のディミュニエンドが付けられています。しかし松葉のディミュニエンドが付けられたからといって直前のようにまた元のmfへは戻らないという意味であることが重要です。なぜならもしこの松葉のディミュニエンドで音量がmfに戻るのであればラフマニノフは文字でmfと書くはずだからです。これがこの箇所の文字と松葉が連動しないということであって、松葉のクレッシェンド+ディミュニエンドは純粋に抑揚または旋律の相似形を表すものだといえるのです。よってこの2小節目3小節目というのは到達されたfという指示の中で松葉による抑揚の表現が必要であるとみなされるべきで、3回目の相似形から漸次音量が減少していくという意味になります。音量の漸次減少は5小節目まで有効であると考えられます。そして5小節目には松葉によるディミュニエンドとその先にはpp.この松葉のディミュニエンドは文字強弱記号と再び連動を再開することになります。ここでは抑揚ではなく、冒頭のmfが松葉のクレッシェンドと連動したことの意味に再び立ち返り、最後に連動を取り戻しているということになります。強弱指示にもシンメトリーポイントがあるということになります。

ここで述べたこと、ラフマニノフの私の読譜の仕方を以下にまとめておきます。

1.文字強弱記号は松葉のクレッシェンド+ディミュニエンドとは連動しない。
例外として連動するのは冒頭と最後の2回のみである。

2.松葉のクレッシェンド+ディミュニエンドは3回の旋律が相似形であることの強調である。
そして同時に恣意が介入しない当然の抑揚を要求する。 

こういうことはこのシンフォニーには多々あり、ラフマニノフの文字強弱記号と、特に松葉の使い方には特徴があるといえます。 


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平野達也トリオライブ当日告知
十三、トミーズ、2016年3月19日(土)20:00〜  P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔 

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平野達也、平野トリオ今後の予定 

◯十三、トミーズ、2016年3月30日(水)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月15日(金)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月17日(日)20:00〜  P.平野達也+高木ちさと(Vo.)
◯十三、トミーズ、2016年4月30日(土) P.平野達也、B.波戸就明(なりあき)、D.弦牧潔 
△八戸ノ里、蓄音機、2016年7月1日(金) 19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔

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平野達也作品の試聴はこちら↓
吹奏楽のための「ノットゥルノ」

https://www.youtube.com/watch?v=rlQ1gZ-XCYg       


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2016-03-18ラフマニノフ交響曲第2番、第3楽章、その1〜変奏と循環形式 [自作品]




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ラフマニノフの交響曲第2番、漸く4楽章を終えて、3楽章へ。
冒頭から甘美なメロディーが心を捉えます。しかしこのメロディーはあの快活な第4楽章の主題と同じ根から発生したものとみます。根拠は、最初の上行する3音、次いで2小節目の下降する音形(上方刺しゅう音)が第4楽章の主題構成法と一致するからです。第3楽章と第4楽章の主題は出元が同じで、顔は似ていなくてもその持つ遺伝子は同じものといえます(譜例)。 

Rachmaninov Symphony No.2mov.3-1.jpg

このような関連を術語で循環形式とまとめて言ってしまいすが、一つのものから多くを引き出すこと、それもキャラクターの異なる多様性を紡ぎ出すことはラフマニノフの特長といえそうです。同じ遺伝子を持つ第4楽章と第3楽章の楽想間ギャップもさることながら、この辺りのことについてまず思い起こされるのは 「パガニーニの主題による狂詩曲」(Rapsody on a Theme of Paganini,Op.43/1934)の第18変奏です。引き合いに出すには多少の気恥ずかしさも感じられる程ポピュラリティーを獲得した曲ですが、この第18変奏は急に降って湧いたような独立性を感じさせます。しかしこれもやはりパガニー二の主題から、感性だけに溺れることなく知的操作によって紡ぎ出されたものなのです。そこには主題の反行形が用いられており、はっきりと派生元がパガニーニの主題であるという刻印が確認できます。しかし反行形を用いることは純粋に技術論として処理できても、ラフマニノフの場合、技術を越えたそれと関連し昇華された総合があるといわねばならず、技術はよくその実現された音楽に奉仕するものであるといえます。
表面の甘美さとそれを支える確かな技術とそれを錬磨する峻厳なる総合力という裏面は、それがよく仕上げられれば仕上げられる程に乖離し、結果的に我々にギャップを与えるものなのかもしれません。
これは交響曲2番の第4楽章と第3楽章についてもいえることです。 

参考音源1:交響曲第2番,第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=QNRxHyZDU-Q 

参考音源2: パガニーニの主題による狂詩曲,第18変奏 https://www.youtube.com/watch?v=hg76YTPpgcs

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平野達也、平野トリオ今後の予定 

◯十三、トミーズ、2016年3月19日(土)20:00〜  P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年3月30日(水)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月15日(金)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月17日(日)20:00〜  P.平野達也+高木ちさと(Vo.)
◯十三、トミーズ、2016年4月30日(土) P.平野達也、B.波戸就明(なりあき)、D.弦牧潔 
△八戸ノ里、蓄音機、2016年7月1日(金) 19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
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平野達也作品の試聴はこちら↓
吹奏楽のための「ノットゥルノ」

https://www.youtube.com/watch?v=rlQ1gZ-XCYg      

 


2016-03-17ラフマニノフ交響曲第2番、第4楽章、その10〜コーダ [自作品]




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ようやくコーダに辿り着きます。Piu Mosso以下、このコーダは主調E-durのI度から始まるのでもなく、根音がCであるC+(オーギュメント)和音から始まります。これはE-durのI度の第5音が半音高まった和音ともいえますが、その構成音の間隔は全て長3度です。この時点で作者の、まずは気迫のようなものを感じます。そして4拍目にあるトゥッティによる強奏は、順にE(Cへのドミナント扱い),Am,Fmの和弦が登場します。さすがに形作りのためのC#mは出てきませんが、これはひとつの回答であって、三度調を念頭におき主調E-durを中心として音の広がりを構想したという、論文でいうところのシュマリー(要約)がここに開示されているといえます。このコーダの冒頭のオーギュメント(増3和音)もそうですが、この楽章の展開部、オクターブを三等分する短3和音についても以前にふれました(2016-03-14ラフマニノフ交響曲第2番、第4楽章、その7〜C#m-Fm-Am,長三度で並ぶ3つの和音http://t-hirano.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14)。この増3和音も、先のオクターブを三等分することも、言い方を換えただけの同根の発想です。
シュマリーという言葉を使いましたが、全体の構想の要約がコーダにある以上、コーダは最後に書かれたか、少なくとも並行して書かれたと私は考えています。これはコーダが帰納的であって、その逆の、コーダが最初にあって全体に敷衍、演繹したと考えるよりも遥かに自然に思えるからです。ただし全体が組み上がっていくなかでコーダはその都度修正を加えられたのではないかとも考えています。何故ならコーダが楽章の経緯や全体をよく要約し、曲のアイデアが集約された縮図のようにみえるからです。

 

参考音源:ラフマニノフ交響曲第2番,第4楽章より https://www.youtube.com/watch?v=2g-NFOID4mA 

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平野達也、平野トリオ今後の予定 

◯十三、トミーズ、2016年3月19日(土)20:00〜  P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年3月30日(水)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月15日(金)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月17日(日)20:00〜  P.平野達也+高木ちさと(Vo.)
◯十三、トミーズ、2016年4月30日(土) P.平野達也、B.波戸就明(なりあき)、D.弦牧潔 
△八戸ノ里、蓄音機、2016年7月1日(金) 19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
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吹奏楽のための「ノットゥルノ」

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2016-03-16ラフマニノフ交響曲第2番、第4楽章、その9〜三種類のFF(フォルティッシモ) [自作品]




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譜例はコーダの前、どこかコーラルを思わせるような部分(練習番号89)。小振りな「展覧会の絵」の「キエフの門」にも、またどことなく日本の「君が代」にも似ています。強弱記号〜多くの作曲家が禁欲的にするようにここでも打楽器には一段階低いF(フォルテ)を指示する以外〜は、全ての楽器にFF(フォルティッシモ)が指示されています(譜例)。

Rachmaninov Symphony No.2-10.jpg

このFFにはよく見ると3種類あることが分かります。弦楽器はsempreFF,メロディーを担当するトランペット、トロンボーンにはFF molto marcato, そして弦と同じ対位旋律を担当するフルートにはsempreFFに加えてmarcatoが付加されsempreFF e marcato.
ホルンが遅れてメロディーに参加するところからは、なぜかフルートと同じ sempreFF e marcatoの指示になります。ここでは弦楽器以外には例外なくmarcatoの指示が添えられています。これはラフマニノフのスコアリングで常々感じてきたことですが、彼は弦と木管を、弦のボーイング指示という問題を越えて、区別して書いています。
上の弦楽器のsempreFFはたくさん弓をつかって演奏するという意味を含みますが、弦楽器以外にもれなく記されたmarcatoは、例えばフルートにスラーが架けられていますが、そのスラーは決して滑らかに演奏するのではなく、フレーズの単位を表すという意味が明らかになります。ホルンのsempreFF e marcatoの指示でmarcatoがあることは弦以外の楽器に例外なく共通することは先にもふれましたが、sempreFFとはホルンがトランペット、トロンボーンの主旋律に参加しているにもかかわらず、それとは別の対位旋律を奏している弦とフルートの指示となぜか同じです。この理由は、ホルンがトランペットとトロンボーンの主旋律担当楽器における加味、つまり単独で主旋律を担当しているのではなくトランペットとトロンボーンの主旋律に加勢するというという意味合いがあるのだと解釈します。
強弱と発想記号に音楽局面の役割まで指定している細やかなスコアリングであることが分かります。
そしてそれは奏者がみることになるパート譜を具体的に想定して記されていることなのです。書き込み過ぎると情報過多で混乱を来たすのですが、ラフマニノフの三種類のフォルティッシモに関しては、意思表示の徹底を感じます。それは作曲家の責任意識なのかもしれません。
FFにも内容と役割、意図、様々なニュアンスがあることを思い知らされます。

参考音源:ラフマニノフ交響曲第2番,第4楽章より https://www.youtube.com/watch?v=2g-NFOID4mA 

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平野達也、平野トリオ今後の予定 

◯十三、トミーズ、2016年3月19日(土)20:00〜  P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年3月30日(水)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月15日(金)20:00〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
◯十三、トミーズ、2016年4月17日(日)20:00〜  P.平野達也+高木ちさと(Vo.)
◯十三、トミーズ、2016年4月30日(土) P.平野達也、B.波戸就明(なりあき)、D.弦牧潔 
△八戸ノ里、蓄音機、2016年7月1日(金) 19:30〜 P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
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平野達也作品の試聴はこちら↓
吹奏楽のための「ノットゥルノ」

https://www.youtube.com/watch?v=rlQ1gZ-XCYg      

 


2016-03-15ラフマニノフ交響曲第2番、第4楽章、その8〜複雑な和音連結 [自作品]




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 前回ふれた長三度間隔にある三つの短三和音が使われている箇所の直後からもう一例取り出してみます。まず正直な感想を述べると、このような複雑な和音連結はそうはざらにはないということです。見やすく二段譜にまとめてみました(譜例)。 

rachmaninov No.2,mov.4-9 sample.mus.jpg 

 簡便にコードシンボルで表すと以下のようになります。
C#m—E7/D—F#m7/C#—E7/B—A#m7b5—Adim—C#m7/G#—B7/F#—G#m7b5/F#—Fm7b5—E—G#7b13/D 

 旋律と緩やかに反行しているのでメロディーに和声付けされるという経緯を辿ったのだと想像します。それにしてもよく考えられた和音連結だと思います。このあと数個の和音で下属調A-durに到達するのですが、規則性もなく、またバスが半音で下降するだけでもなく、固定感のある和音は終わりから二つ目のEくらいで、あたかもゆくえを悟られまいとしているかのようです。またこの熟考された和音連結を堂々と聴かすのでもなく、特に金管群はホルンも含めて「まばらに」これらの構成音を休符混じりに奏でていきます。
 多少音楽に詳しい方なら、声部誘導による非和声音の和音への参入や、偶成和音などとお考えになるのかもしれません。しかし私はそうは思えず、上の譜例に要約して示したようにそれぞれは熟考された個々の確立した和音と捉えます。そしてそれが余り目立つように書かれていないところに、何か余計に心惹かれるものがあります。単なる半音階的和声とまとめて表現できない何かがあるように思え、それは大いさとは逆の屈折した神経質な部分であって、それもラフマニノフ音楽の一面なのかもしれません。この部分の和声はこの大曲の中で最も感心させられたもののひとつです。このような和声を書く作曲家はそうざらにはいないと思いました。 

参考音源:ラフマニノフ交響曲第2番,第4楽章より https://www.youtube.com/watch?v=2g-NFOID4mA 

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2016-03-14ラフマニノフ交響曲第2番、第4楽章、その7〜C#m-Fm-Am,長三度で並ぶ3つの和音 [自作品]




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やっとのことで展開部を抜け出て再現部へ。練習番号81の7小節目、耳につく和音の登場。E:VI-VI/V-・・・E-durのVI度、そしてVI度へのドミナント・・・ここまでは普通に和音記号で難なく書けます。問題は次の和音、Fm-Amという和音です。もちろんFmはナポリ和音の短和音化、Amはサブドミナントの短和音化と理論的に説明はつきます。しかしここはそのような理論的説明よりも長三度関係にある全三種の和音と分析する方が余程スマートだと思います。即ち、C#m-(G#)-Fm-Am.という連結(下譜例)は、カッコに入れたG#は除いて、長三度の間隔の上に並ぶ全ての短三和音であることが分かります。C#-F-A.それぞれの音程差、長三度はオクターブを三等分するもので、この3つの音の関係は永遠にこの3者からなる関係の連続であるといえます。だからG#という音はこの完全な関係に参入できません。

rachmaninov No.2,mov.4-8 sample.mus.jpg

 さてこの和音、3種がこのように近くに出てくると調性感が薄れます。それは長三度音程が三種類しかない長音階のそれらの隔たりは主音を挟んで両翼に完全4度であることからも科学的に証明できます。
 このような転調とも呼べない1音共通の、根音が長三度音程差をもつ和音、実はその調性感の薄さからか、連想的に'不可思議な'や’異世界的’な比喩的表現にむいているらしく、いつの頃からか、映画のキャラクターを表す音楽記号になっているようにも見受けられます。例えばスター・ウォーズのダース・ベーダーのテーマはこれで書かれています。バットマンにもハリー・ポッターにも同様のこの今回ふれた和音連結を聴いたような憶えがあります。 

 ラフマニノフが高級で映画音楽が低級だという議論ではなく、今の耳からするとラフマニノフのシンフォニーにダース・ベーダーの音楽が登場するということが楽しくもあります。この曲が作られたのは20世紀のはじめ、1907年頃のことなのです。100年前の曲なのですね。

 ラフマニノフ(1873-1943)より20年程後輩のプロコフィエフ(1891-1953) にもこれと同じ用法の音楽があったような気がします。「三つのオレンジへの恋」(1921)だったでしょうか。題名の「三つの」は、今回ラフマニノフにみたオクターブを三等分する三つの和音にかけているのなら、それはそれで愉快なことです。

参考音源:プロコフィエフ「三つのオレンジへの恋」より'行進曲'https://www.youtube.com/watch?v=0uNt8-7Z5lQ 

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平野達也、平野トリオ今後の予定 

◯十三、トミーズ、2016年3月19日(土)20:00〜  P.平野達也、B.岸政彦、D.弦牧潔
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