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2015-02-25野口雨情ノート9最終回(エピソード) [童謡・唱歌]




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最後に一つのエピソードを紹介し、このつたない講義を締めくくりたいと思います。

『金の星』1922年大正11年八月号記事
路傍童謡講演(東京某所)
某月某日貧民窟(ママ)で有名な東京某所の路傍に立って、童謡のお話をしたり、童謡を歌ったりして大勢の貧しい家の子供さん達に聞かせました。子供さん達は、どんなに喜んだことでしょう。野口先生の羽織の袖や袴につかまって、涙を浮かべて幾度も幾度も歌いました。往来の人々も、皆立ち止って、声一つ立てずに聞いていました。嘗ては、第四皇子澄宮殿下に、御内命によって自作童謡「千代田のお城の鳩ぽっぽ」を謹書して献上し宮廷詩人とまでいわれた野口先生が、引き続きこうして東京市中の各貧民窟を廻り歩いて童謡会にも行くことの出来ない貧しい家の子供さん達に歌って聞かせるということは、野口先生でなければ到底出来ないことであります。」(略)長島和太郎『詩人*野口雨情 詩魂は漂泊の旅へ』有峰書店新社1994

童謡界の三巨星、他の二人、西條八十(1892-1970)や北原白秋(1885-1942)らは街頭で自作の童謡を歌った、そのような記事を私は知りません。上記の雨情の行動は奇抜なものだったかもしれませんが、詩句だけを捉えていたのではなかなか理解できない部分です。

また雨情は児童教育の情操強化を童謡作歌上強く叫び、真摯な態度で童心のために、その心を真っすぐそして暖かく育みたいという強い信念と行動をもって、後進にも訴えかけた詩人でもあります。(教育に関する発言、論考有)

エピソードや作歌態度、このような側面は三大詩人の中でも、特に雨情の特徴だと思われます。これは詩歌における技術論ではなくて、多くは個性、人間性の問題です。飾らない人柄、鍛えられた人間性に支えられた強い信念、「土」の感覚から常に物事を見つめ続けた詩人。やはり雨情は孤高の詩魂であったと思うのです。

長らくのご清聴ありがとうございました。(まばらな拍手) 

おわり

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平野達也jazzpiano3ライブ予定
◇ザットフォー(近鉄今里すぐ)http://zattofour.com/
☆2015年3月21日(土祝)
◇十三トミーズ (阪急十三)http://tommys13.web.fc2.com/Top/Tommys.html
☆2015年3月27日(金) 
◇夙川ピアノクラブNEW http://www.pianoclub.jp/
☆2015年4月6日(月)19:30〜 夙川の桜の季節です

ピアノ:平野達也、ベース:岸政彦、ドラム:鶴牧潔

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平野達也童謡作品の試聴はこちら↓
平野達也:編曲 童謡「七つの子」(オーケストラ版) 

 



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