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2014-10-19唱歌「旅愁」 [童謡・唱歌]




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「旅愁」作詞者:犬童球渓(いんどうきゅうけい)まず犬童を’いんどう’とお読みするところから始めなければなりません。球渓は生地熊本県人吉市を流れる球磨川の渓谷の意で号(ペンネーム)です。

唱歌「旅愁」「中等教育唱歌集」1907年(明治40年)
作詞:犬童球渓(1879-1943)
作曲:J.P.オードウェイ(1824-1880)

1.更け行く秋の夜、旅の空の、
わびしき思いに、ひとりなやむ。
恋しやふるさと、なつかし父母、
夢路にたどるは、故郷の家路。※繰返

2.窓うつ嵐に、夢もやぶれ、
遥けき彼方に、こころ迷う。
恋しやふるさと、なつかし父母、
思いに浮かぶは、杜のこずえ。※繰返     <「日本唱歌集」岩波文庫2003>

有名なこの唱歌、純日本製とお思いになっておられませんでしょうか(日本の歌百選2006)。元は外国の民謡でもなくれっきとしたアメリカ製の作品です。明治期にみられるいわゆる翻訳唱歌(螢の光、庭の千草など)のひとつということになります。

''Dreaming of Home and Mother''  J.P.Ordway
Dreaming of home, dear old home!
Home of my childhood and mother;
Oft when I wake 'tis sweet to find,
I've been dreaming of home and mother;
Home, Dear home, childhood happy home,
When I played with sister and with brother,
'Twas the sweetest joy when we did roam,
Over hill and thro' dale with mother.

原詞では<我が家><少年時代><遊び回った丘>などはでてくるものの、「旅愁」にいう「更けゆく」「秋の夜」「わびしい」「旅の空」などの言葉はどこにも出てきません。ましてや「夢破れ」や「心迷う」などという言葉はどこにも見当たりません。結果、旋律は借りているが、訳詞というよりは創作に近いということが分かります。この点が他の翻訳唱歌と一線を画するところです。
犬童球渓(信蔵)は東京音楽学校卒業後兵庫県北部の赴任先で明治40年前後(日露戦争明治37年)時代風潮もあり随分音楽を教えることに苦労したようです。心を病んで流されるように故郷から更に離れた新潟高等女学校に赴きこの「旅愁」を書いています。全編を読み返すとこの「旅愁」はただ単なる旅ではなく人生の漂泊の愁いを歌っていることに気付きます。
犬童先生は常に故郷を、球磨川の清き流れを、望郷の念をその胸に抱いておられたのではないでしょうか・・・。それを心に留めて歌うとこの「旅愁」は新たな顔を我々に見せるはずです。

辞世の句
我が墓は萩に包めよ鳴く虫の妙なる声に安く眠らん 

・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・

 

 平野達也編「ピアノで楽しむ童謡・唱歌集」

写真.JPG 

収録曲:「浜千鳥」「もみじ」「浜辺の歌」「おぼろ月夜」など全12曲 

現在書店での取扱はありません。(A4版見開きA3版22頁 送料別¥2,000-)
ご希望の方は冊数を明記の上、下記メールにてご連絡下さい→確認でき次第発送させていただきます。
こちら↓
tatsuyacomphirano@gmail.com 

 

平野達也その他の童謡編曲作品の試聴はこちら↓

平野達也:編曲 童謡「七つの子」(オーケストラ版)

平野達也:編曲 童謡「青い目の人形」(オーケストラ版)

 



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